残業には割増賃金が発生する?費用の考え方とは

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残業には割増賃金が発生する?費用の考え方とは

 

従業員が残業をする際に、状況によって企業は割増賃金を支払わなくてはなりません。

理解の不足により割増賃金を支払っていない場合には、後日従業員から請求されたり賃金未払いの労働訴訟に発展したりすることがあります。

 

これらの問題発生によるイメージ低下の影響は計り知れないほど大きいため、経営者や人事・総務担当者の方は割増賃金について正しく理解する必要があります。

また、いずれにせよ割増賃金が発生する事態は望ましい状況ではありません

 

この記事では、割増賃金が発生する状況をご紹介したうえで、割増賃金を支払わなくてもよい状況についてご紹介します。

 

この記事の目次


残業には割増賃金が必要?

残業には割増賃金が必要?

 

最初に理解しておきたい点は、残業代には割増賃金が発生するものと、発生しないものとの2種類が存在する点です。
働き方改革関連法案が施行され、残業時間の厳格な管理が要求されている状況でもあるため、両者の内容をまず正確に理解しましょう。

 

1-1. 法定内残業

法定内残業とは、労働基準法で決められた労働時間内での残業のことを指します。
法定労働時間の原則は、1日=8時間・週=40時間です。
例えば、1日・6.5時間×週5日勤務の労働契約を結んでいる社員は、1日あたり1.5時間以内であれば、残業をしても法定労働時間を超過しません。
法定内残業の場合、割増賃金は発生しないため、残業時間×給与の時給換算分の料金が支払われれば問題ありません。

 

1-2. 法定外残業

法定外残業とは、法定労働時間を超過した残業のことを指します。
フレックス勤務者の場合は、月の日数によって基準時間が設けられています(例えば、31日の月=月間177.1時間)。
法定外残業の場合は、超過した時間によって以下の賃金割り増し率が定められています。

 

法定外残業時間割り増し率

月間60時間以下の法定外残業 25%以上
月間60時間以上の法定外残業 50%以上

 

1-3. 残業以外の割増賃金

割増賃金は法定外残業以外にも定められているため、注意が必要です。

 

条件割り増し率

深夜労働(22時~5時の間の労働) 25%以上
法定休日労働 35%以上
法定時間外労働とこれらの条件の両方に該当する場合は、割り増し率は重複して適用されます。
例えば、法定時間外の休日出勤をおこなった場合の割り増し率は、60%(25%+35%)以上です。

 

残業の割増賃金支払いのデメリット

残業の割増賃金支払いのデメリット

 

割増賃金が発生する状況は、企業側・社員側の双方にとって望ましくない状態です。
どのようなデメリットが存在するのかについて、それぞれご紹介します。

 

2-1. 企業側のデメリット

企業側のデメリットは、以下の点です。

 

  • ・コスト要因になる
  • ・社員の離職率増加・定着率低下の要因になるリスクがある
  • ・周囲から「ブラック企業」だと認識されるリスクがある

 

健全な企業運営をするためにも、働き方改革に対応するためにも、法定時間を超える残業の常態化を避ける努力が必要です。

 

2-2. 従業員側のデメリット

従業員側にとって、長時間労働には以下のデメリットがあります。

 

  • ・ワーク・ライフ・バランスを保てず、プライベートの趣味などを楽しめない
  • ・心身の健康リスクを害する恐れがある
  • ・負荷が強くかかることで、ミスの増加や仕事の質の低下につながる

 

長時間労働の常態化は、社員の心身にとって大きな負担になります。
短期的な視点では、残業代を得ることで収入が増えるという面はあるものの、中・長期的に考えると社員にとっても長時間労働は大きなデメリットです。

 

割増賃金の発生する残業を防ぐための方法

割増賃金の発生する残業を防ぐための方法

 

社員が長時間労働を強いられ、割増賃金が発生してしまう状況を改善するためには、会社が組織的に対策を取ることが重要です。
特に中小企業に関しては、予算や人材の制限があるなかで対応を取らなくてはならないため、難しい対策が必要とされます。
しかしながら、対策を取ることで得られるメリットもまた非常に大きいです。
この章では、割増賃金発生の対策の基本を4点ご紹介します。

 

3-1. 生産性向上をおこなう

割増賃金を発生させないための大前提として意識しなくてはならないのは、生産性の向上です。
生産性向上の対策をしないまま労働時間を無理やり削減すると、業務の品質が低下したり必要なチェックが漏れてしまったりすることで、顧客の満足度が低下します。
時には、クレーム問題に発展し、対応に時間を追われる事態に陥ることもあるでしょう。
このような事態は本末転倒であり、社員のさらなるモチベーション低下を招きます。
重要なことは、売り上げやサービスの品質を維持したまま労働時間を削減することです。

 

3-2. 情報共有の徹底

生産性の向上や業務の質向上のために最も重要とされる点の1つが、情報共有です。
情報共有をすることにより業務の属人化を改善できます。
その結果、社員が長時間労働や休日出勤をせざるを得なくなる状況をなくせるでしょう。
さらに、顧客からの問い合わせや要望に対してスピーディーに対応できるという点も情報共有の大きなメリットです。
一つひとつの案件に対して担当者に確認する必要がなくなるため、顧客満足度も高まるでしょう。
情報共有のためには、クラウド型のIT ツールを利用すると効果的です。
例えば、グループウェアや社内チャットなどのツールを利用すると、すべての情報をリアルタイムに共有できます。

 

3-3. チームワークの改善

生産性向上への意識改革やITツールの導入を行ったとしても、社員同士が協力し合える環境が整っていなければ意味がありません。
社員同士がチームワークを発揮することにより、仕事の質・スピードが向上します。
そのために必要なことは社員間のコミュニケーションです。
社員間で気軽にコミュニケーションし、必要なときに報告・連絡・相談ができる体制を整えましょう。
コミュニケーション改善のためにもビジネスチャットなどのITツール導入が役立ちます。

 

3-4. ルールの作成

必要に応じてルールを作成・改訂することも重要です。
・ノー残業デーの導入
・業務効率化を評価するよう評価体制の変更
・ITツール利用のルール
業務効率改善につながるようにルールを整えることで、社員一人ひとりが残業時間の削減の意味・目的を理解し、会社の方向性やビジョンをしっかりと認識できるようになります。

 

まとめ

法定外残業・休日労働・深夜労働を社員がおこなった場合には、割増賃金が発生します。
もちろん、業務上必要なケースもありますが、基本的には割増賃金が発生するのは望ましいことではありません。
割増賃金が発生しないようにするために重要なことは、以下の4点です。

 

  • ・生産性向上
  • ・コミュニケーション活性化
  • ・チームワーク
  • ・ルールの改訂

 

残業時間の短縮(長時間労働の是正)は、働き方改革や生産性向上の観点からも非常に重要視されているトピックです。
もし課題を感じられている場合、ぜひ本記事を参考にしてください。

 

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