観光庁が推進する新しい働き方のひとつ「ブレジャー」。
日本での認知度は低いものの、海外ではポピュラーになりつつあります。
ブレジャー推進の背景と現状・メリットとデメリット・導入事例をまとめました。ブレジャーの効果と問題点が把握できる記事です。
現在、観光庁は新しい働き方として「ブレジャー」を推進しています。
ブレジャーは海外ではポピュラーになりつつある働き方ですが、日本ではあまり浸透していません。
しかし、ブレジャーにはほかの働き方にないメリットがあります。
この記事では、ブレジャーの基礎知識とともに、メリットや事例をまとめました。
新しい働き方に関する知識が得られますので、ぜひご覧ください。
この記事の目次
ブレジャーとは
「ブレジャー」とは、「ビジネス(Business)」と「レジャー(Leisure)」を組み合わせた造語で、観光庁が推進する新しい働き方です。出張などで社外に出る業務の際に、滞在期間を延長して余暇を楽しむことを指します。
ブレジャーは「ブリージャー」とも呼ばれますが、観光庁では「ブレジャー」と紹介しているため、
この記事では「ブレジャー」で統一して解説します。
ワーケーションとの違い
ブレジャーと似た語に、「ワーケーション(Workation)」があります。これは「仕事(Work)」と「休暇Vacation)」を組み合わせた造語で、こちらも観光庁が推進しています。
ワーケーションは、リゾート地など普段の職場や家とは異なる場所で余暇を楽しみながら業務を行う働き方です。
両者はよく似ていますが、微妙に異なる点があります。
ブレジャーは仕事の後出張先などで休暇を楽しむのに対し、ワーケーションはプライベート中に業務を行うことを指します。
また、ワーケーションには休暇主体と仕事主体の2パターンがありますが、ブレジャーは仕事が終わったあとに余暇を楽しむ1パターンしかありません。
このように、ブレジャーとワーケーションは、同じように見えて細かい点に違いがあります。
これらの制度を利用する際は、両者の違いを押さえておきましょう。
ブレジャーの現状と背景
次にブレジャーの現状を解説します。ブレジャーは海外ではポピュラーな働き方のひとつです。
2017年の時点で、アメリカ・イギリス・ドイツ・インド・中国で出張経験がある人の約60%が、ブレジャーを利用して余暇を楽しんでいます。
一方、日本ではブレジャーの認知度すら20%程度と非常に低いままです。
日本ではあまり受け入れられていないブレジャーですが、さまざまな効果が期待できます。
【ブレジャーを推進することで得られる効果】
・働き方の多様化の推進
・旅行需要の平準化
・地方創生
観光庁のブレジャー推進プロジェクトでは、ブレジャーの認知度の向上とともに、これらの効果を得ることを目的としています。
ブレジャーのメリット
ブレジャーは企業・労働者の双方にメリットがあります。ブレジャーを成功させるには、このメリットを押さえたうえで導入しなくてはなりません。
ブレジャーで得られるメリットを解説します。
企業側のメリット
ブレジャーが企業にもたらすメリットは、以下の3つです。【企業側のメリット】
・生産性の向上
・帰属意識の向上や人材の定着
・企業ブランディングやCSRに役立つ
ブレジャーを導入すると、労働者は積極的に有給休暇などの休暇制度を活用するようになりますから、
自然と余裕のある働き方ができるようになります。
余裕のある働き方は生産性の向上につながります。
ブレジャーは労働者の生産性を高め、企業の利益を向上させる効果が期待できる働き方です。
余裕ある働き方や多様性を重視する企業では、労働者の帰属意識が高くなります。
帰属意識が高ければ離職率は低くなりますから、企業に人材が定着します。
また、ブレジャーを導入し、多様な働き方ができる企業である印象が広がれば、企業のブランド力向上も期待できるでしょう。
他社との差別化も図れるので、人材募集時の強みとなります。
ブレジャーは企業の内側に作用するだけでなく、外向きの効果もあると期待できるのです。
労働者側のメリット
ブレジャーからメリットを受けるのは、企業だけではありません。労働者にもたくさんのメリットをもたらしてくれます。
【労働者側のメリット】
・モチベーションの向上効果
・出張などでも家族と一緒にすごせる
・出張部分の費用は企業負担
労働者にとって、ブレジャー最大のメリットは仕事のあとに休暇を楽しめることです。
仕事の終わりに楽しみや目標があれば、高いモチベーションを維持できます。
ブレジャーは、家族やパートナーと共に過ごせる制度でもあります。
仕事にあわせてレジャーをするわけですから、家族やパートナーと一緒に出張先などに行っても問題ありません。
仕事終わりにすぐに大切な人と時をすごせるのは、うれしいメリットです。
ブレジャーでは、出張にかかる交通費や宿泊費は企業が負担します。
往復の交通費や出張時のホテル代などは、経費として処理されます。
企業がレジャーにかかる費用をある程度負担してくれるため、通常の旅行よりも費用を抑えてレジャーを楽しむことが可能です。
ブレジャーのデメリット
メリットがたくさんあるブレジャーですが、デメリットもあります。導入の際はデメリット対策をきちんと行っておきましょう。
企業側のデメリット
ブレジャーにおける企業側のデメリットは、以下の3つです。【企業側のデメリット】
・勤務管理や業務評価が難しい
・労災認定の線引きがあいまい
・費用負担や連絡に関する不安がある
ブレジャーはテレワークなどと同じく、労働者が働いている姿が見えない働き方です。
出張部分の勤怠管理や評価が従来よりも難しいのは、デメリットといえるでしょう。
デメリットへの対策として新しいシステムやルールを導入する必要がありますから、これらにかかるコストも見逃せません。
また、ブレジャーは労災認定の線引きがあいまいです。
業務と休暇がひとつになった働き方であるため、事故が発生した場所や内容・原因により労災にあたるかを判断する必要があります。
労災の判定だけでなく、安全配慮義務をはじめとした労働者を守るための法律も関わるため、慎重な判断が必要です。
ブレジャーのデメリットは、勤務管理や評価・労災などの線引きだけではありません。
費用負担の問題や連絡に関する不安もあります。
ブレジャーは出張と休暇が合わさったものであるため、出張にかかる部分の費用は企業が負担しなくてはなりません。
ここでもまた「どこまでが仕事で、どこからが休暇なのか」の問題が発生します。
また出張先が通信状況の悪い場所だと、企業と労働者で連絡を取るのが難しくなります。
これらの問題を防ぐにも、事前の対策や労働者との間の取り決めが必須です。
労働者側のデメリット
労働者側にもブレジャーのデメリットはあります。【労働者側のデメリット】
・定着まで周囲の目が気になる
・オンオフの切り替えが難しい
・家族分などは自己負担
ブレジャーは日本であまり浸透していないため、企業や組織から認められていても周囲の目が気になる方もいらっしゃるでしょう。
「出張だとごまかして遊んでいるのではないか」と思われる可能性があります。
また、業務上気になるデメリットもあります。
ブレジャーは業務と休暇がいわば一体化しているため、自身で意識の切り替えを行う必要があります。
意識のオンオフが難しい人だと、業務にも休暇にも集中できないと感じる可能性も考えられるでしょう。
ブレジャーを利用して家族やパートナーと過ごす際にも、デメリットが発生します。
企業が出張にかかる費用を出してくれるのは、あくまでもその企業に所属している労働者の分だけです。
家族やパートナーの交通費や宿泊費は、労働者が負担しなくてはなりません。
ブレジャーの導入事例
メリット・デメリットをしっかり考える必要のあるブレジャーですが、日本の企業のいくつかはすでに導入に成功しています。
導入事例として、3つの企業をご紹介します。
【ブレジャー導入に成功した企業】
・日本航空株式会社
・ユニリーバ・ジャパン
・日本マイクロソフト株式会社
日本航空株式会社
「日本航空株式会社」は、2017年にワーケーションを、2019年にブレジャー制度を導入しています。導入により、現在は以下のような効果が得られるようになりました。
【「日本航空株式会社」が得た成果】
・有給休暇の取得率向上
・従業員のモチベーションアップ
・ストレスの軽減
「日本航空株式会社」では、間接部門の有給休暇取得率が伸び悩んでいる時期がありました。
仕事と休暇を組み合わせることで、長期休暇に対する抵抗感や、
復帰後の業務量増加に対する不安感を軽減できるのではないかと考え、制度を導入したそうです。
課題が改善されただけでなく、そのほかの効果も得られる結果となりました。
ユニリーバ・ジャパン
「ユニリーバ・ジャパン」は2016年から「WAA(Work from Anywhere and Anytime)」と呼ばれる制度を導入しています。これは働く時間と場所を従業員が自由に選べる制度です。 この制度により、ブレジャーを成功させています。
制度の実施率は2021年時点でほぼ100%と、社内全体に新しい働き方がいきわたっていることがわかります。
「WAA」により、さまざまな効果が得られるようになりました。
【「WAA」による効果】
・仕事に対する認識の変化
・ストレス軽減
・仕事への意欲アップ
どの効果も企業と労働者双方によい影響を与える効果ばかりです。
これもまた、ブレジャー導入の成功事例といえます。
日本マイクロソフト株式会社
「日本マイクロソフト株式会社」は、ワーケーションや在宅勤務制度を特別に取り入れている企業ではありません。企業の働き方として、日常と特別な期間を分けず、いつでもどこでも仕事ができる体制を整えてきました。
企業の体制自体が、ワーケーションやブレジャーが取りやすい環境であった事例です。
現在の「マイクロソフト株式会社」は、日常と特別をひとつのルールに収めています。
いつでもどこでも仕事ができる体制を整え実行することで、ワーケーションやブレジャーを実現しているわけです。
経営者・労働者・人事管理の「トリプルwin」の状態を常に保つことで、新しい働き方を実現しています。
「日本マイクロソフト株式会社」の事例は、新しい働き方を導入する際の考え方や方法の参考事例といえるでしょう。
ブレジャー導入にはサポートツールが不可欠
企業・労働者の両方にメリットをもたらすブレジャーですが、導入を成功させるにはデメリット対策が重要です。デメリットである勤怠管理や経費計算は、ツールを導入することで改善できます。
そこでおすすめしたいのが「VWS 勤怠」です。
クラウド型勤怠システムのため、出張先でもスマートフォン・タブレット・パソコンから勤怠打刻の入力ができます。
そのためブレジャーの弱点である勤務管理が簡単にできるでしょう。
「勤務時間自動計算」機能が搭載されているので、会計ソフトのフォーマットにあわせてデータ抽出できます。
この機能を使えばブレジャーの複雑な経費管理もスムーズです。
ブレジャー導入に役立つ勤怠管理システムをお探しの方は、「VWS 勤怠」 の導入もご検討ください。
ブレジャーのデメリット改善には、細やかなコミュニケーションに役立つツールも必要です。
そこでおすすめしたいのが、ビジネスチャットツール「JANDI」です。
「JANDI」には「チャット」「トピック」機能があり、ブレジャー中の会議や連絡事項のやり取りが簡単にできます。
「トピック」機能には既読確認機能がついているため、共有の確認も可能です。
ブレジャー中に問題が起きても連絡・相談ができ、安心できます。 「JANDI」は「VWS 勤怠」同様、ブレジャー導入に役立つツールです。
ぜひ「JANDI」 もあわせてご検討ください。