都市集中には、利便性が高いというメリットがある反面、災害にもろいというデメリットもあります。
最近、地方分散に向けての取り組みが改めて見直されています。
なぜ今、地方分散が注目されているかというと、
新型コロナウイルス禍による被害の大きさが要因の一つになります。
自然災害や疫病・テロなどの被害が起こった際に、都市に機能が一極集中していると、
一気に事業の継続が不可能になるケースも考えられるためです。
兼ねてから地方創生と叫ばれていながらも、主要企業の多さや利便性などの関係で、
なかなかその実現が難しいという現実がありました。
しかし、新型コロナウイルス禍を機に企業は働き方の柔軟さについて今一度考えなければならない局面に立たされたと言えます。
本記事では、都市集中によるリスクを最小限に抑えるための施策や取り組み方について解説します。
この記事の目次
新型コロナウイルス禍では都市集中がリスクに!
新型コロナウイルス禍では、東京での感染者数の増え方など、都市圏でのリスクが如実に表れる結果となっています。実際、ニュースの報道によると、
東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県の4都県で国内の感染者数の約半数を占めるという事態になっています(人口割合は4都県で全国の約29%)。
参考:熊本毎日新聞2020.6.1「東京一極集中 コロナ後へ分散化推進を」 https://kumanichi.com/column/syasetsu/1478063/
以上のデータから、都市ならではの利便性や効率性といったメリットが、
ウイルスの感染しやすさにつながってしまったことが明らかになっています。
新型コロナウイルス禍以外にも、都市集中についてはさまざまなリスクが想定されるので、
Withコロナ・Afterコロナを見据えたとき、リスクケアを考えるとともに地方分散にむけての取り組みが必要になります。
「地方分散」について初めて目にした方もいると思いますが、具体的には次のような取り組みがあります。
・リモートワークや在宅オフィスの活用
・サテライトオフィスや支社の開設
これらの取り組みにより、
本社以外でも事業を継続できる状態を整えることが地方分散につながります。
都市集中で考えられるリスク
都市集中によって起こるリスクは、大きく二種類に分けることができます。・過密さによる被害のリスク
・一極集中によって起こるリスク
以上の2種類です。
言葉だけ見るとどちらも似ていて、違いがイメージしづらいかもしれませんので、
それぞれがどのようなリスクなのか具体的に解説します。
2-1. 過密さによる被害のリスク
都市部では、必然的に人口が過密になります。人口が過密になることで起こるリスクには、次のようなリスクがあります。
・疫病の大流行
新型コロナウイルス禍でも「3密」の危険性が繰り返しアナウンスされましたが、
都市部の人口密集は疫病が流行しやすい環境を生んでしまいます。
満員電車や百貨店などでの密集状態に代表されるように、人と人との距離が非常に近く、
ウイルスの飛沫感染(くしゃみなどからウイルスが感染すること)や接触感染(菌を持った手などで触れたものを、
別の人が触れ、鼻や眼の粘膜に触れることによりウイルスに感染すること)などのリスクが高くなりやすくなります。
・交通の混雑
どんなに交通網が整備されても、都市部の場合には交通が混雑しやすくなります。
特に、自動車やバスの場合、交通の混雑により目的地への到着が大幅に遅れてしまうことも珍しくありません。
交通の混雑は都市部に限ったことではありませんが、
1年を通して混雑のリスクが高いのは都市部ならではのリスクと言えます。
2-2. 一極集中によって起こるリスク
二点目の都市部のリスクは、組織の機能を一極集中にしてしまうことによって起こるリスクです。具体的には次のリスクが想定されます。
・自然災害や事故の被害を受け本社が機能しなくなったときに、組織の司令塔が不在になってしまう
・事故や災害の被害により、建物が倒壊したり、スタッフの安全が脅かされたりしたときに、事業を継続できない
・駅前や商業の中心地などに人気が集中し、地価や賃料が高くなりやすい
これらは、特にビジネスやサービスなどの場面で問題になりやすいリスクです。
地方分散によるメリットと課題とは?
都市集中のリスク回避の為に注目されているのは、地方分散です。漢字を見てわかる通り、地方分散とは都市集中のちょうど真逆の考え方です。
この章では、地方分散のメリットと課題について紹介します。
3-1. 地方分散のメリット
地方分散の主なメリットは4点あります。①BCP対策につながる
BCP対策とは、
自然災害やテロなど組織が重大な被害を受けた場合にも基幹事業を継続できるようにするための準備をしたり、
規定を作ったりすることです。
②コスト削減
一般的に都市部の場合は、テナントの賃料や人件費が地方と比較すると高くなりやすい傾向が見られます。
また、在宅勤務制度などを活用して、テナント規模を縮小することでスモールオフィスを実現し、
コスト削減を目指すという考え方もあります。
③地方の優秀人材を採用できる
人手不足や採用活動の難化は、近年の人事における一つのキーワードとなってます。
在宅勤務制度などを活用し、場所にとらわれない働き方を実現することで、
地方の優秀人材を採用することも可能です。
④リモートワークや在宅勤務の活用による柔軟な働き方の実現
リモートワークや在宅勤務制度を整えることにより、
結果的にスタッフ一人ひとりのライフスタイルにあった柔軟な働き方の実現につなげることができます。
結果的に、ワーク・ライフ・バランスの向上や働き方改革の実現につながることになり、
また多様な働き方が認められる会社というイメージの浸透によって、優秀な人材が集まりやすくなります。
考えられる課題について3点紹介します。
①リモートでのコミュニケーションのストレス
リモートワークや在宅ワークを導入する際には、オンラインツールがメインになります。
必ずしも誰もがオンラインツールを使いこなせるとは限らないことや、
インターネット環境などによっては通信がスムーズにいかない点があるなど、
利用者がストレスを感じてしまう可能性があります。
②特に中小企業においてはBCPの策定が進んでいない
地方分散を導入しBCPの策定にやくだてるためには、BCPの目的を明確に設定する必要があります。
しかし、中小企業の多くがBCP策定の取り組みが進んでいない状況であり、
地方分散を進めようとしてもうまく舵を取れない可能性が高いでしょう。
→資料:中小企業庁「中小企業においては、BCP策定済はわずか2.2%」
③業界によっては、地方分散が難しく、大打撃を受けてしまう(飲食・賃貸オフィス・映画館やスポーツ観戦などの娯楽・鉄道)
飲食業界や賃貸オフィス・映画館・スポーツ観戦などの娯楽・鉄道など、商品やサービスを提供する「場所」が重要な業界では、
地方分散をしても業務効率の向上が見込みづらい面があります。
現状では地方分散を実施するための体制がなにも整っておらず「右も左も分からない」といった状況であったとしても、
一つずつ対策を整えることにより、地方分散の実現につなげることができます。
Afterコロナでは、会議や商談などの「対面での業務を必要最小限に抑えるべき」という考え方が、主流になることでしょう。
この時、従来通りの会議や商談に依存した仕事の進め方から脱却できない企業では、
意思決定や販売などに問題が生じてしまい、大きく業績を落としてしまったり、
業務効率が悪化してしまったりする可能性があります。
従って、無駄な会議の洗い出し、対面での商談の代替手段の有無の確認など、
新たな働き方への対応を進めるための業務の見直しが必要です。
地方の支社・サテライトオフィス・在宅勤務者など、
物理的に位置の離れたスタッフとコミュニケーションをとるためには、
コミュニケーションツールの活用が効果的です。
具体的には、ビジネスSNS・チャットツール・ビデオ会議ツールなどの活用が効果的です。
例えば、ビジネスSNSである「JANDI」では、
・社内のメールコミュニケーション82%削減
・不要な会議29%削減
・業務効率56%上昇
といった導入効果が見られています。
「JANDI」は、「誰でも使える」ことを売りにしているサービスなので
「使いづらい」「使いこなせない」といったストレスの心配も不要で、
社内全体のコミュニケーションを高めることができます。
結果的にスタッフ一人ひとりのライフスタイルにあった柔軟な働き方の実現につなげることができます。
結果的に、ワーク・ライフ・バランスの向上や働き方改革の実現につながることになり、
また多様な働き方が認められる会社というイメージの浸透によって、優秀な人材が集まりやすくなります。
3-2. 地方分散の体制を整えるための課題
地方分散には、多数のメリットがある反面、課題も考えられます。考えられる課題について3点紹介します。
①リモートでのコミュニケーションのストレス
リモートワークや在宅ワークを導入する際には、オンラインツールがメインになります。
必ずしも誰もがオンラインツールを使いこなせるとは限らないことや、
インターネット環境などによっては通信がスムーズにいかない点があるなど、
利用者がストレスを感じてしまう可能性があります。
②特に中小企業においてはBCPの策定が進んでいない
地方分散を導入しBCPの策定にやくだてるためには、BCPの目的を明確に設定する必要があります。
しかし、中小企業の多くがBCP策定の取り組みが進んでいない状況であり、
地方分散を進めようとしてもうまく舵を取れない可能性が高いでしょう。
→資料:中小企業庁「中小企業においては、BCP策定済はわずか2.2%」
③業界によっては、地方分散が難しく、大打撃を受けてしまう(飲食・賃貸オフィス・映画館やスポーツ観戦などの娯楽・鉄道)
飲食業界や賃貸オフィス・映画館・スポーツ観戦などの娯楽・鉄道など、商品やサービスを提供する「場所」が重要な業界では、
地方分散をしても業務効率の向上が見込みづらい面があります。
地方分散を見越して企業が今から行うべき対策
企業が地方分散を実施するためには、できることから対策を検討する必要があります。現状では地方分散を実施するための体制がなにも整っておらず「右も左も分からない」といった状況であったとしても、
一つずつ対策を整えることにより、地方分散の実現につなげることができます。
4-1. 業務の棚卸と見直し
まずは、改めて業務の棚卸と見直しをおこなうことです。Afterコロナでは、会議や商談などの「対面での業務を必要最小限に抑えるべき」という考え方が、主流になることでしょう。
この時、従来通りの会議や商談に依存した仕事の進め方から脱却できない企業では、
意思決定や販売などに問題が生じてしまい、大きく業績を落としてしまったり、
業務効率が悪化してしまったりする可能性があります。
従って、無駄な会議の洗い出し、対面での商談の代替手段の有無の確認など、
新たな働き方への対応を進めるための業務の見直しが必要です。
4-2 コミュニケーションツールの活用
地方の支社・サテライトオフィス・在宅勤務者など、物理的に位置の離れたスタッフとコミュニケーションをとるためには、
コミュニケーションツールの活用が効果的です。
具体的には、ビジネスSNS・チャットツール・ビデオ会議ツールなどの活用が効果的です。
例えば、ビジネスSNSである「JANDI」では、
・社内のメールコミュニケーション82%削減
・不要な会議29%削減
・業務効率56%上昇
といった導入効果が見られています。
「JANDI」は、「誰でも使える」ことを売りにしているサービスなので
「使いづらい」「使いこなせない」といったストレスの心配も不要で、
社内全体のコミュニケーションを高めることができます。
その他、電子決済やオンライン名刺交換・VR技術など、
これまでは実現できなかった様々な機能が、クラウド上で提供されています。
これまでは実現できなかった様々な機能が、クラウド上で提供されています。
4-3 データや資料の共有
場所にとらわれずに仕事を進めるためには、重要なデータや資料を紙媒体・電子媒体で共有できる仕組みを整えておくことが必要です。
紙媒体なら資料のコピー配布や保管、
電子媒体の場合にはクラウドサービスのストレージや資料共有機能などの活用など、
それぞれ紙媒体・電子媒体の両方に特徴やメリット・デメリットがあります。
どちらかといえば、電子媒体の方がデータにアクセスしやすいため、
利用・管理できる仕組みを整えることが大切です。
4-4 人材の再配備と仕組みの検討
本社が、事業の継続が困難なほど大きな打撃を受けたときに、支社などで事業を継続できるように人材を配備したり、機材や仕組みを整えたりすることも必要です。
具体策を2例紹介します。 ・地方に設置したコールセンターのオペレーターが、
本社や全国の各拠点にいるセールス舞台に効率よく案件をパスできるコールシステムの導入 ・商社において、
経営・人事・広報に関するコアメンバー+実働メンバー(約20名)を郊外拠点に移転 このように、
例え本社が全く機能しない状態になったとしても、
残った拠点で根幹となる業務を継続できる仕組みを検討し、人員を再配備する姿勢が重要です。
まとめ
新型コロナウイルス禍により、都市への一極集中のリスクが浮き彫りになりました。大企業のみならず、中小企業においても都市集中によるリスクを最小限に抑えるために、
改めて企業の地方分散について見直すことが不可欠と言えます。
ただ、支社の開設にはある程度の事業規模が必要になりますが、
在宅勤務者の新規雇用や郊外のサテライトオフィスの開設・テレワークの導入などは、
費用を抑えて対策をとることも可能です。
地方分散には、コミュニケーションのストレスを始めとした課題も考えられるため、
本記事を参考にまずは現状の洗い出しや課題の解消から取り組むことをおすすめします。