働き方改革によるテレワークや在宅勤務活用が推奨される現代では、業務効率や生産性が非常に重要視されています。
それに伴い、無駄な会議やいわゆる「飲みニケーション」については撤廃される向きがあるため、
見方によってはコミュニケーションの重要性が低下しているようにとらえられがちです。
しかし、現状のような状況下だからこそ、社内コミュニケーションは以前にもまして重要です。
社内コミュニケーション自体にさまざまなメリットがあるだけではなく、
社内コミュニケーション不足を放置していると大きなリスク要因となってしまうためです。
この記事では、社内コミュニケーションの重要性やメリット・リスクを踏まえ、
社内コミュニケーションを高めるための具体策について解説します。
なぜ社内コミュニケーションが重要なのか?2つの背景
まず、現在、なぜ社内コミュニケーションが重要視されているのかについて確認しておきましょう。
重要なポイントとなるのは、以下の2つの背景です。
①働き方の多様化
参考:総務省 令和元年度版 情報通信白書
政府主導の働き方改革の手法として、在宅勤務などのテレワークが推奨されています。
総務省が調査・発表しているテレワークの導入率調査において、テレワークの導入率は2012年の11.5%から2018年の19.1%へと非常に高い伸びを示しています。
そしてこの数値は、2020年の新型コロナウイルスの脅威により、さらに大きく伸びていることが予測されます。
さらに、ワーク・ライフ・バランスが重要視される傾向が強く、勤務時間が終了したらそのまま帰宅、あるいはプライベートな時間を過ごす人が増えています。
こうした事情により、オフィスに出社する人が減ったり、出社をしても時間になったらすぐに帰宅したりする人が増えているため、
飲みニケーションなどの集まりが開催しづらかったり、物理的に対面してコミュニケーションを取ったりする機会が以前よりも減少しがちです。
②従業員の仕事へのモチベーションの変化
かつては、終身雇用制度の元、同じ文化で育った生え抜き社員が中心という会社が珍しくありませんでした。
しかし、人材の流動が多くなった近年では、様々な文化や考え方をもつ従業員が同じ会社で一緒に働くケースが一般的になりました。
こうした状況下では、考え方の統一や意思疎通を図るために、コミュニケーションを積極的に摂ることが必要とされます。
これらの二点の背景により、横(同期や同僚)だけではなく、
縦方向(直属の上司・部下)や斜め方向(他部署のスタッフ)とのコミュニケーションの活性化が、以前にもまして重要となっています。
社内コミュニケーション活性化により得られる5つの効果
前章では、社内コミュニケーションの重要性が増している背景を紹介しましたが、 そもそも社内コミュニケーションを取ることによりどのような効果が得られるのでしょうか? この章では、社内コミュニケーション活性化によって得られる効果について考えていきましょう。
2-1.生産性向上
意外に思われるかもしれませんが、社内コミュニケーションの活性化は利益にも直結します。
アメリカのMcKinsey & Companyの調査によると「スタッフのコミュニケーション活性化によって、業務が20~25パーセント向上する可能性がある」ということです。
同じ調査では、「コミュニケーション不足の場合に、従業員1人あたり年間300万円程度の損失が生まれる」とも報告されています。
従業員10名で年間3,000万円、100名なら3億円・・・と考えると、甚大な損失であることは火を見るよりも明らかです。
2-2. イノベーション・コラボレーションの創出
コミュニケーションの活性化は、イノベーションやコラボレーションの創出にも効果的です。
普段接触がなく、バックグラウンドの異なるスタッフ同士での交流が特に重要です。
Microsoft社などのシリコンバレーの企業では、会社の仕組みとして意図的にコラボレーションを人事評価の査定に組み込む企業も登場しています。
そして、コラボレーションが生まれやすい社風から新機能の開発などに繋がっているということです。
2-3. 顧客満足度の向上
コミュニケーションが活性化していると、業務に必要な情報伝達がスムーズになります。
結果的に顧客に対するサービスが向上し、顧客満足度が向上します。
特に、チーム間や上下の情報伝達がスムーズに摂れていないケースでは、
小さなクレームが大きなクレームに発展してしまったり、機会損失を招いてしまったりするリスクが高まります。
2-4. スタッフのモチベーション向上に繋がる
社内コミュニケーションの活性化は、「キャリア・成長の支援」「知識・能力・スキル向上」と並んで、モチベーション向上の主要な策の1つです。
逆にいえば、コミュニケーションが活発に行われていれば、社員のモチベーションが非常に高まりやすいということです。
モチベーション向上のためには、語り合いに重きが置かれる傾向があります。
2-5. 従業員エンゲージメントの向上<h/3>
コミュニケーション活性化は従業員エンゲージメント向上にもつながります。
従業員エンゲージメントについては、あまりなじみのない言葉かもしれませんが、会社と従業員とのつながりの強さを表します。
従業員エンゲージメントが向上すると、次の4件のメリットがあります。
・従業員の貢献意欲が高まる(従業員エンゲージメントが高いスタッフにおける「会社に貢献したい」という思いを持つスタッフの割合は、
全体の99%。全体平均49%に対して、非常に高い水準を示しています)。
※タワーズワトソンの調査より
・離職率の低下
株式会社リンクアンドモチベーションの調査結果によると、エンゲージメントの向上は、メンバー層だけではなくリーダー層にも強い影響を及ぼします。
参考:PR Times
・業績アップ(エンゲージメントの高さと業績が比例)
最後に、エンゲージメントの高さは企業業績にも影響を及ぼします。
タワーワトソンの調査によると、エンゲージメントの高い企業は、
エンゲージメントの低い企業に比べて営業利益率に1.5倍もの違いがみられました。
社内コミュニケーションの不足がもたらすリスク
社内コミュニケーションは活性化すると、上述のメリットが得られますが、
反対にコミュニケーションが不足した時には、次のリスクが高まる危険性があります。
・コンプライアンス違反や問題行動が起こりやすくなる
コミュニケーションが不足すると、スタッフ間の仲間意識や連携意識が希薄になりがちです。
その結果、違反行為や独善的な行動・コンプライアンス違反などが生じやすくなってしまう危険性があります。
・企業理念やビジョンとのベクトルのズレ
コミュニケーションが不足すると、経営陣の意図が各スタッフにうまく伝達できなくなってしまいます。
結果として、ビジョンが共有されなかったり、企業としての方向性の統一が図れなかったりしてしまう危険性があります。
・情報共有の不足
日常業務において情報共有が不足してしまうことがあります。
マニュアルや顧客情報の引継ぎ、報告事項の滞りなど、日常の業務に大きな支障をきたしてしまうリスクがあります。
・スタッフ間の助け合いの減少
スタッフの業務におけるトラブルや個人的な悩み事に関して、スタッフ同士で助け合いができる環境が損なわれてしまいます。
結果として、スタッフが孤独を感じてしまい、業務が行き詰ってしまったり、ストレスによって心身に問題を抱えてしまったりするリスクが高まります。
以上の4点に対してコミュニケーション不足は直接的・あるいは間接的に影響します。
社内コミュニケーションを高める5つの具体策
4-1.会議・ミーティング・研修
会議・ミーティング・研修においては、
業務を通じて縦・横のコミュニケーションを増やすための一つのきっかけになります。
「コミュニケーション研修」などコミュニケーションに特化した研修はもちろんのことですが、
営業研修や新入社員研修・マナー研修・月例会議などにおいても、グループワークやロールプレイングなどを通じて、スタッフ間のコミュニケーションを図ることができます。
研修のプログラムや会議の進行を企画・作成する際には、
コミュニケーションの場の創出という観点も踏まえると、コミュニケーション活性化を意識した会議・研修を実施することができます。
4-2. レクレーション・イベント・飲み会など
よりリラックスした雰囲気でコミュニケーションを活性化させるためには、レクレーション・イベント・飲み会などが効果的です。
有志の社内クラブ活動なども良いでしょう。
お酒やゲームなどを通じて、プライベートの話題や一人ひとりのバックグラウンドを互いに知るための場にもなります。
縦・横のつながりだけではなく、斜めのつながりを作りたいときにも、このような業務とは直接関係のないコミュニケーションの場が効果を発揮します。
4-3.フリーアドレス制・ABW・社内プロジェクトの活用
フリーアドレス制やABW(アクティビティベースドワーキング=プロジェクト単位で時間と場所を自由に選択できる働き方のこと)などを活用することで、
業務の中でコミュニケーションを活性化することもできます。
これらの対策を行うことで、部署の垣根を取り払ってプロジェクトを進めることができます。
ただし、せっかくフリーアドレスにしても同じ席についてしまうのはよくある事例なので、
時には座席を指定したり、ランダムのくじ引きで決定したりするなどの工夫が必要です。
4-4.社内報・従業員アンケートの実施
現在、社内コミュニケーションを活性化するために最も利用されている手法の一つが、社内報や従業員アンケートの実施です。
近年では、アプリを活用することで手軽にアンケートを集計することもできます。
社内報にて、一人の従業員にスポットを当てることで、普段接触の少ないスタッフを知るきっかけにもなります。
4-5.社内チャットツールの活用
社内のコミュニケーションを深めるには、社内チャットなどのITツールを活用することも重要です。
ITツールを使用するメリットは、以下の2点です。
・別途時間を割いたり、導入準備のために時間がかかってしまったりすることがない
飲み会やレクレーションは、自由参加の形を取ったとしても業務外でスタッフの時間を拘束してしまいます。
また、フリーアドレス制については、制度を機能させるためには事前の打ち合わせや対策が必要となり、
担当スタッフの手間や負担が生じてしまいます。
その点、社内チャットツールは、手軽に導入することができ、スムーズに利用をすることができます。
・社内チャットを使ってコミュニケーション活性化の実効策を図れる
社内チャットは、チャットツールとして連絡を取り合うほかに、
社内報の展開などのコミュニケーションを高める策を実行するためにも活用できます。
手軽にコミュニケーションを取れることはもちろんですが、
コミュニケーションの質を高めるという点でも、メールやLINEにはないメリットがあります。
ここで、社内ツールとしておすすめしたいのはJANDIです。
JANDIは、社内コミュニケーション活性化・セキュリティ面で安全な情報共有が行えるチャットツールです。
単にコミュニケーションを活性化するだけでなく、情報共有などの機能も搭載されています。
また、スタッフ全員が利用しやすいよう、誰もが直感的に利用できる仕組みになっている点も大きな特徴の一つです。
→便利なビジネスチャットツール「JANDI」
まとめ
社内コミュニケーションは、企業の生産性向上やイノベーションの創出など、収益性にも大きな影響を及ぼします。
テレワークが活用される現在では、コミュニケーションが希薄になりがちな面もありますが、
だからこそ社内コミュニケーションを活性化させるための取り組みが重要です。
この記事では、社内コミュニケーション活性化の手法として、次の5つの例を紹介しています。
①会議・研修
②レクレーション・飲み会
③フリーアドレス・ABW
④社内報・従業員アンケートの実施
⑤社内チャットツールの活用
特に社内チャットツールは手軽に実践することができるおすすめの手法です。
記事内で紹介した社内チャットツールは、以下のリンクからチェックしていただけます。